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和田アキ子の眼瞼下垂手術は失敗なのか???

この前のブログで、眼瞼下垂の方は実は非常に多いことはお伝えしました。

 

診察時にも、非常にたくさん、眼瞼下垂の方をおみかけしますので、

『眼瞼下垂が少しありますね。手術をするとよくなりますよ』

と、お話しすると、

『あー、和田アキ子のやつね。あれはイヤ』

と言われることが非常に多くなりました

 

以前から、当院では、手術に抵抗のある方が多かったのですが、

和田アキ子の件以降、より皆さんが抵抗感を示すようになってしまいました

 

私もかつては眼瞼下垂の手術を執刀していましたし、現在でも眼瞼下垂の手術を手伝っていますので、よく内容は理解しているつもりです。

そのような立場から、和田アキ子の眼瞼下垂の手術について、検討したいと思います。

 

眼瞼下垂とは、瞼を開ける筋肉がうまく作動しないことが原因で、手術でなければ改善しません。

皮膚が余って瞼にかぶってきて視界がせばまることも、眼瞼下垂に含めて話されることも多いですが、厳密には違うものです。ほとんどの方は両方の原因が混在していますので、手術時には両方の原因にアプローチすることが必要です。

 

和田さんの場合も、両方が混在しており、皮膚のかぶりも多いですね。

術前

そして、こちらが有名な、術後2週目の写真です。

確かに、とても腫れているし、左右差もあります。

通常、眼瞼下垂の術後の腫れは翌日がピークで、2週間ほどで大部分の腫れは落ち着きます。

といっても、2週間だとまだ少しむくんだ状態で、傷の赤みも目立ちます。

傷跡も含めて完全に落ち着くには、3ヶ月~半年はかかります。

術後2週間だと、通常はメイクをすればそれほど違和感のない状態ですが、和田アキ子さんの場合は、腫れの引き方がずいぶん遅いかなという印象です。

 

そしてこの、術後の腫れ、というのは、いろいろな原因によって引き起こされます。

術中の操作が多ければ当然腫れは強くなりますが、下垂の程度が強い方は、周囲の組織との癒着を剥がしたり、糸で留める作業も難航しますので、腫れやすくなるかもしれません。

また、もともと瞼が腫れぼったい方は、腫れやすい傾向があります。和田さんのような目の方は腫れやすいでしょう。

術中に使用する局所麻酔液の量や、術中の出血量、手術時間なども影響します。

 

眼瞼下垂手術に限らず、『腫れない手術』、とよく宣伝されることがありますが、必ずしも腫れないからよいという訳ではありません

もちろん、術者の技量によるところもありますが、術中の操作を少なくすれば、(手抜きをすれば)侵襲も少なくなり、腫れにくくなるでしょう。

しかし、しっかりした手術をしようとすると、ある程度の操作は必要になることもあります。

最近は過度な侵襲をなるべく少なくする傾向にありますが、必要なことと、ある程度は仕方のないこと、やってもやらなくてもあまり効果に大差がないこと、など、経験のある術者は分かっていますから、安易に腫れなければよい手術なのだ、と考えないで頂きたいと思います。

 

そして、これが3月31日の、アッコにおまかせのひとコマ。

術後4か月弱。

どうですか?だいぶ腫れも落ち着いていますよね。

正常の経過と思います。そこまで不自然でもないのではないでしょうか。

 

和田さんのように、もともと目が細く、二重がはっきりしない目の方は、

術後ぱっちり二重になるので、非常に『やった感』がでてしまい、周囲は違和感を感じます

 

眼瞼下垂の治療の観点から言えば、二重にしたほうが、皮膚が折り返る分、瞼に被りにくくなりますので、開きやすくなるでしょう。

術前のデザインで、二重の幅は多少調節できますし、なるべくぱっちり二重にしたくない方は、奥二重のデザインや、縫合時に二重になりづらいような工夫もできますが、それでも二重になってしまうこともあるので、絶対仕上がりを一重にするというお約束はできません。

和田さんのようにもともと厚ぼったい瞼の方は、二重にしても腫れぼったい二重になりがちです。

 

最近は、切らない眼瞼下垂の手術、というものもあります。

余った皮膚の被りが少ない方はこちらでもある程度治療は可能ですが、

余った皮膚を切り取る必要がある方の場合は適応ではありません。瞼が開きやすくなると、逆に皮膚に被る皮膚が多くなることがあります。

 

和田さんの勇気を尊重し、

また、眼瞼下垂の手術に対する偏見が少しでもなくなりますように・・・

 

ご質問がある方はいつでもどうぞ。