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知らなかった!「美女と野獣」のルーツ(๑˃̵ᴗ˂̵)

ディズニー「美女と野獣」

GW映画の興行収入1位だそうですね。

わたくし観ておりませんが、お散歩に行った代官山の蔦屋書店さんで、同じタイトルの本を見つけたので読んでみることにしました。
初版が「今年3月」の、しかも文庫本、、、
どうみても新潮社さんの便乗企画、、、
あまり期待せずに読み始めました
、、、
、、、
なにこれ!!
超オモシロイ!!

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ボーモン夫人 著

村松潔 訳
13の短編(「美女と野獣」はその一つなの)➕訳者の村松先生の超絶解説
短編は、いちおう「教訓童話」なんだそうですが、どれもかなりエッジが立っています。
こんなお説教なら、悪い子供も思わず聴きいるわ、ってくらい、キレキレのエピソードたちなんです。
設定のあまりの極端さ、展開の驚きの強引さ。つい笑っちゃう。
ていうか、現代日本でこれを子どもの教育に使ったら、、、はいクレーム!
っていうのばっかり爆笑
これ、18世紀に女性が書いたって、ほんとなの?
登場人物も、両極。
見た目   超美しいか、超醜いか
性格       超いいか、悪いか
態度       勤勉か、怠惰か
そして狂言回しに“仙女”が出てきて、ヒトを操ったり、悪い人間を制裁したり。
なんじゃこりゃー!な13編。
読み始めたら止まりません。
そして、一気に読み終えるころには、ちょっぴり自分を省みちゃったりするから不思議。つい恥じてみたり、明日を思ったり。。。チュー
だれかに薫陶を受けた気分になる。
そして、ここでやめてはだめよ。
村松先生の訳者解説が、これまたとっても興味深いの。
◆そもそも「美女と野獣」はかなり古くからある口伝えの民話。
◆最初に文字にされたのは、1740年。「ヴィルヌーヴ夫人」によるもの
◆これを、1756年にボーモン夫人がパクって、じぶんが刊行し始めた『こどもの雑誌』に、超短縮させて書き改めたの。
(当時は著作権とかないから)
◆ボーモン夫人の『こどもの雑誌』は、貴族子女の教育書。ヨーロッパ数カ国語に翻訳された、当時の超ベストセラー。 
宗教、道徳、歴史、自然科学などあらゆるテーマから成っている。
「美女と野獣」などの昔話は、勉強の骨休めとして盛り込まれていたんですって。
なんなの「ボーモン夫人」って!
才人!!
さぞ真面目で堅物な教育者?
、、、それが村松先生によると、かなりの奔放な女性だったんだって〜爆笑 
「経験豊富」で、酸いも甘いも噛み分けた人の方が教育者に向いてるかもねウインク でもこれも、現代日本ではクレーム対象かー。 
◆ちなみにヴィルヌーヴ夫人の「美女と野獣」(モーボン夫人がパクった原作)は、性的表現が露骨だったり、美女には空想の貴公子がいたりで、ちょっとエッチな感じなんですって!
現代のディズニー映画とは、だいぶんニュアンスが違うんでしょうね。映画観てないし、ヴィルヌーヴ本(こちらは、昨年末 あの白水社さんが邦訳を緊急発売)も読んでないけど、間違いないわ。
「野獣」ねえ、、、
わたしたちは、この現代社会では、動物らしさ(野獣さ、野性)を人類史上最強に封じ込められている。
だれもが、「すばらしい王子様(聖人君子)」を演じるかのごとく生きている。
鬼才・ボーモン夫人が、シニカルに笑って眺めていそうです。