小説『金閣寺』美しさを封じ込める
11月の中旬、金閣寺に行きました!
ちょうど紅葉のはじまりのころ
秋晴れのもと、金閣寺があまりにも美しく、「時よ止まれ〜!」と思っちゃうほど
写真を撮りまくりました
自分もちゃっかり同じフレームに入る
金閣寺は、修学旅行やら京都で学会の時やら、過去にも訪れたことはありますが、
なぜか今回は猛烈に心惹かれ、、、
東京にもどってからも金閣寺が忘れられなくて
「金閣寺を読みたい!」という気持ちになりました。
そう、昭和25年の金閣寺放火事件のことをね。
水上勉を読むか、三島由紀夫を読むか、、、
迷いましたが、アマゾンで水上勉の文庫本を探しても、値段の高い中古しかなかったので、
今回は三島由紀夫の『金閣寺』にしました。
休日に、ペニンシュラホテルの超お得なプランで、引きこもって読みました
皇居や日比谷公園一望の素敵なお部屋
しかも名物のマンゴープリンをいただきながら
至福〜
でも!
読んでるのは、三島由紀夫の『金閣寺』です。
ぜったい読みながら暗くなるから、明るいホテルで読んでよかった〜
『金閣寺』は、昭和25年に実際に起きた金閣寺放火焼失事件のお話
そして放火犯である、当時金閣寺に住みこみしておられた見習い学生僧侶さん
を描いたドキュメンタリー
ではなく、三島さんのフィクションなんです。
見習い僧侶さんの、
異様で
未熟で
不安定な
心の動きを細かく表現した小説。
ストーリーを追うというよりは、一描写一描写を噛み締めるという読み方が良いのかな。
終始、生まれ育った環境や、吃音症とを心の陰影に結びつけようとして書いてるの。そして登場する師や友人によって修飾されて、見習いさんの人生を負の方向に導く構成。
しかも「あくまでフィクション」ね。
うわ〜暗くなる〜、やめて〜
そしてキーワードは「美」!
仕事がら「美」について四六時中考えてるわたくしにとっては、やっぱり読まないわけにはいけない小説だったわ。
ブログの冒頭に「時よ止まれ!」と書きましたが、美しさははかなく、すぐに消えて無くなるから美しいし、自分にないから欲しいし、ねたましいものにもなる。
この小僧さんは逆に金閣寺の悠久の「美」に翻弄されて、破滅へ向かう。。
わたくしは自分のインスタやブログに、
食べてなくなっちゃう美しい料理やかわいいお菓子、
きれいな景色、
お気に入りのファビュラスな服や靴を
写真に撮ってアップして、そこに閉じ込めるのが好きです。
さらに、今の自分のことも撮って閉じ込める。
それで自分のものになったと錯覚して満足する。執着はそこで途絶える。
こうやって冷静に書くと笑っちゃうけど、通り過ぎる「美」を遊べるわたくしは幸せなんだわよね。
未来永劫まで続く「美」を畏れ多くて自分に投影したりしないから。
この見習いさんにiPhoneがあっても遊べなかったわよね。。。
あ、そうそうわたくしこの小説で1ページだけドッグイアしたの。表現が気に入って。
「熟練した美」
内反足の柏木が尺八を奏でるくだりで出てくるフレーズなの。取っておきたいフレーズかな
な〜んて、べつに三島由紀夫ファンではないけど、やっぱり小説読むとあれやこれや考えてやっぱり面白いわ
いつか水上勉の『金閣炎上』も読んでみたいです こちらはルポルタージュよね。
さて、今日もアオハルの下では、キラキラのけやき坂を写真に閉じ込めようとたくさんの人が集まってます
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